技法
ストローク
トールペイントはマニュアル化されたストロークで成り立っているといってもよいほど、ストロークは基本です。これらの基本のストロークをマスターすれば、一通りのトールペイントはできるといっても過言ではありません。
カンマストローク
平筆や丸筆を使って、カンマを書くように描くこと。
丸筆のカンマストローク
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1筆の余分な水をペーパータオルで少し落とします。
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2絵の具は筆の根元までたっぷり含ませます。
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3筆を置いて筆圧をかけます。
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4固定した小指を利用し、ゆっくり手前に力を抜きながら、筆を上げていきます。
平筆のカンマストローク
Cストローク
平筆や丸筆を使って、Cの字を書くように描きます。
1絵の具を筆につけた時、筆も整えます。
2筆のエッジを利用して横にすべらせます(トールペイント用語でチズルエッジ)。
3徐々に筆圧をかけていきます。
4ゆっくり力を抜きながら筆を立ててエッジを利用し筆を抜きます(筆につけた●印に注目。筆の方向が変わっていないのがわかる)。
Sストローク
平筆や丸筆を使ってSの字を書くように描きます。
平筆のSストローク
1筆のエッジを利用して、斜め横にすべらせます。
2手前にひきます。
3筆を斜めにすべらせて、筆を立てながら抜きます(筆をまわさないこと)。
リーフストローク
平筆、丸筆、フィルバード筆などを使って葉のような形に描きます。
1絵の具を筆全体につけます。
2筆圧をかけてしっかり押えます。
3筆を90度ツイストさせながら持ち上げます。
ライナーワーク
ライナー筆を使って、細い線を描きます。
1長い線を描くためには、絵の具を少し水で薄めます。
2絵の具を筆の根元までしっかり含ませます。
3小指を固定して、指先を動かさずに腕全体を動かして線を描きます。
4最後は筆を立てながらゆっくり上げていきます。
サイドローディング
湿らせた筆の片側に絵の具をつけ、パレット上で筆を上下に動かして絵の具をよくなじませて、色の濃淡をつけて描きます。
1筆先を整え余分な水をタオルで取ります。
2筆の片方の角に絵の具をつけます。
3基本的には絵の具が三角形になるように筆幅の2分の1を目安に絵の具を取ります。
4きれいなぼかし(グラデーション)を出すためにパレットの上で筆を数回いったりきたりさせて絵の具をならします。
5なめらかなグラデーションをつくります。
ダブルローディング
平筆の両角に異なった色をつけ、パレット上でよくなじませてグラデーションを出して描きます。
1まず筆の片側に1色つけます。
2もう片方の角に別の1色をつけます。
3筆に2色をこのようにつけます。
42色がよくなじむようにパレットの上で数回いったりきたりさせます。
5ダブルのグラデーションをつくります。
ドット
湿らせた筆の片側に絵の具をつけ、パレット上で筆を上下に動かして絵の具をよくなじませて、色の濃淡をつけて描きます。
1筆の後ろを使います。絵の具をたっぷりつけます。
2筆を立てて絵の具を置いていきます。
3絵の具をつけ直さずに続けるとだんだん小さなドットになります。1つずつ絵の具をつけ直すと均一な大きさに。
スクロール
筆の弾力を生かして、滑らかなラインを描きます。
1水で少し薄くした絵の具をライナー筆の根元までつけます。
2小指を固定させて、腕全体を動かすようにして描きます。
3渦巻き(スクロール)を描きます。
アンティーキング
作品を、時代がかった古ぼけた感じに仕上げる方法です。
絵柄を描き終えたらウッドステインを全体に塗り、乾かないうちに中央から布で拭き取ります。木に直接ステインを塗っている部分は、2~3日乾かしてから仕上げのニスを2~3回塗ります。
クラッキング
クラックルメディウムを使って表面に細かいひび割れをつくる技法です。アンティークな表現ができます。
絵柄を描き終えてからクラッキングします。地塗りを2~3回、通常より厚めに塗って絵を描きます。完全に乾いたらクラックルメディウムを塗ります。
- メディウム薄め
- メディウム厚め
スパッタリング
筆やステンシルブラシなどを使って、作品の表面に絵の具のしぶきを飛ばす方法です。
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1平筆に絵の具を含ませ、細い柄の部分にあてます。
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2刷毛部分を強く手前に引き、絵の具を飛ばします。
絵の具を水で薄めなかったもの
飛滴がとても細かく、それほど広く飛びません。
少し薄めたもの
飛滴がやや大きいものが増え、やや広く飛びます。
ドレッシング程度に薄めたもの
飛滴が大きいものが増え、広く飛びます。
スパッタリング 2本の筆
スパッタリング スパッターブラシ
スパッタリング スパッタリングブラシ
参考図書
「トールペイントなんでもQ&A」 日本ヴォーグ社刊
「ヴォーグ基礎シリーズ トールペイント」 日本ヴォーグ社刊